ソラシドトリガー! -Sorashido Trigger!-

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「きらら」と「特撮」、究極のバランスで魅せる 『ニチアサ以外はやってます!』第1巻感想

女子高生、海城あかねは1年生である。

彼女を勧誘した特撮研は、廃部寸前の組織である。

海城あかねは憧れのヒーローに成るために特撮研で戦うのだ!

(メロブ30秒CMより抜粋)

 

 

まんがタイムきらら系列の雑誌を購読し始めてだいたい5年、好きな作品が2巻で終わってしまったりゲスト掲載時から注目してた作品がアニメ化したりと、濃ゆいきららライフを送ってきた。しかし最近は多忙だったり他のことにうつつを抜かしてるせいで連載陣も一部のものしか追えず、ゲスト掲載の漫画は基本的にスルーしてしまうことが多くなった。そんな中、まんがタイムきららキャラットを読んでいた際、タイトルを見ただけで「こ、この漫画はおれ好みかもしれない・・・!」と直感が走った作品が現れた、その名も『ニチアサ以外はやってます!』(著:猫にゃん)

 

ニチアサ以外はやってます! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

seiga.nicovideo.jp

 

 

「ニチアサ」といえば日曜朝の特撮番組(厳密には8時半の少女アニメやかつて存在した7時からのアニメも含まれるんだけど作中では特撮以外は触れられてないのでそういう扱いでいきます)の放送枠の総称で、我々には説明不要の単語。あの枠の番組が生きがいになって11年経つけどまさかきららで特撮モノの漫画が始まるのは念願叶ったと言っても大袈裟では無い。昔から心のどこかで「きららで特撮を題材にした漫画やってくれないかな~」と密かに願っていたがとうとう現実のものとなった。

 

大まかなあらすじは記事冒頭の通り、主人公の海城あかねをはじめ、本郷苺、早田唯、芹沢博見というどこかで聞いたことあるような名前の4人が所属する廃部寸前の特撮作品研究部を舞台に特撮を作ったりニチアサを観るといった活動を描く。部活動だけでなくカラオケで特ソンを歌ったりおもちゃ屋ではしゃぐなど日常的な描写も挟みつつ、スーツの造形やヒーローのデザイン・脚本の作成、アクターの演技指導から撮影・編集に至るまで、頭を悩ませてたり行き詰まりながらも一つの作品を完成させるために切磋琢磨していく姿は"きらら"や"特撮"だけでなく"ものづくり"系としても魅力がある。主人公のあかねが当初非オタで特撮のあれやこれやを先輩たちが解説してくれるので、特撮に詳しくない人も入りやすいと思う。

タイトルを見て「あーどうせ特撮パロディやあるあるネタがふんだんに盛り込まれたギャグ漫画でしょ?」と予想していたが、第3話の特撮研メンバーが先代の部員が制作した特撮作品を鑑賞するシーンにて、実写さながらのド迫力な演出や構図と作品を食い入るように観る4人の興奮具合でまさにこっちも熱くなってしまい、読む前の偏見を見事に裏切ってくれた。パロネタもちらほら出てくるけどそんなにガッツリ出てこないので、そういうのが苦手な人も読みやすいと思う。というか自分がそんな人。あくまで自分の好みの話なんだけど、オタクあるあるネタを取り上げたり意味なくパロディを多用したりする作品は共感性羞恥などが働き胸がむず痒くなってしまい好きになれないことがあるので、1話に1つか2つ有るか無いかぐらいのこの作品の配分は個人的にありがたい。その内容も「お陰で正気に戻れたよ」「PARTY」といったSNSなどで飽きるくらい見たミームネタがちらほらあるので、実家のような安心感すらある。そういうのが苦手って人もいるだろうけど別にネットに媚びてる感じは無いしまぁ読んでみて。それはそうと112ページに写ってるのって心からの笑顔を見せてくれよのシーンだよね多分。

 

これも自分の主観強めだけど、『ヒーローさんと元女幹部さん』や『映像研には手を出すな!』などの同じく特撮オマージュ強めだったり部活モノとものづくり系を織り交ぜた作品が好きな人なら合うんじゃないかと思ってる。

 

 

そんな感じに色々好みな点の多い作品なんだけど、一つだけめっちゃグサっと刺されたような台詞がある。第9話にて顧問のタチバナさんこと本多立花があかねに対して放った台詞で、それがこちら↓

ニチアサ以外は?

ドアサは?怪獣映画は?深夜特撮は?

知識も経験も足りてない 本当に特撮が好きなの?

いくら運動ができても お前に特撮研のアクターがつとまるの?

 

「ニチアサしか観てないくせに特撮オタク名乗んな」みたいな話はネットにて何回も見てきたし、尚且つニチアサ歴は長くてもそれ以外は殆ど疎い自分にも当てはまっているのでこの言葉は凄く胸が痛い。ブログとかで特撮の話をしていても、「おれ言う程特撮に詳しくないのに一丁前に語っちゃっていいの?」とちょっとだけ思ってる。

この手の議題に明確な正解は無いとして考えると、○○好きを名乗るなんて結局自己申告制だし、他人に迷惑をかけさえしなければ別に何でもいいかなと。他の作品でもよく言われてるように"好き"ならそれでいいし、"好き"の形は人の数だけある。劇中でも皆そんな風に違う形の"好き"を持っていて、解釈違いなどで揉めることはあれど根っこの部分は同じだからぶつかり合い励まし合う仲間でいられる。特撮研も決してタチバナさんの特撮愛は否定していないし、他者の異なる価値観も受け入れるって大事なんだなと思わされた。

 

 

 

この先も連載が続くとして(続いてください)楽しみなのはやっぱり新入部員という名の追加戦士の登場が期待できること。思えばきらら作品って『けいおん!』のあずにゃんや『うらら迷路帖』の臣ちゃんなど、物語の途中から主人公たちの輪に加わる特撮の追加戦士ポジションのキャラが出てくるパターンが多いのでそして何人かはアニメ版に出られずに終わる、この作品でも間違いなく登場すると思う、ヨホホイやドルヲタみたいな既存メンバーに負けないくらいの濃いキャラが。

 

 

話は変わるけど、「まちカドまぞくは実質仮面ライダージオウ」みたいなきららと特撮を絡めたネタはメリケン含めよく見てきたけど、こじつけ抜きにしてもこの2つのコンテンツは共通点多いんじゃないかと『ニチ以』読んでから気づいてしまったかもしれない。そもそも、きららは美術や音楽をはじめ、アウトドアや地学など「萌え」と様々な分野を掛け合わせてきたので、そこに「特撮」が加わるのも不自然ではないし、きららも特撮も長い歴史の中で何でも有りな感じになってきたから、とことん"らしい"作品だと思う。伝統などを受け継ぎつつ令和という新時代にきららのニューヒーローがきららに新しい風を巻き起こす、それに相応しい作品になって欲しい。というか成りつつある。

 

 

↓特撮詳しくない人向けの記事タイトルの元ネタ

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【蛇足】

kai-you.net

だけど中学に進学して、親戚の子どもの面倒をみるようになり、その子の付き添いでニチアサに触れる機会が増えたんです。それで中学2年生のとき放送していたのが、虚淵玄さんが脚本を担当した『仮面ライダー鎧武』なんですけど……。私も“中2”らしく、そういう作品が好きな時期がありまして。

(上記のインタビュー記事より一部抜粋)

 

猫にゃん先生、鎧武の時に中2・・・だと・・・僕より年(殴