ソラシドトリガー! -Sorashido Trigger!-

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『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーションズ』感想  絶対に交わってはいけない平成と令和が交わったからこそ起きた奇跡の事故合体映画

平成の物語に蓋を閉じた『ジオウ』が終わり、新たな時代の物語を展開する『ゼロワン』が始まって早4ヶ月、早くもその2作が共演する映画が公開される運びとなりました。

 

ゼロワンの、そして令和初のライダー映画(ここお約束)だった今作、平成と令和という異なる時代(?)のライダーが絡む今作、詳しくは後述で思う存分語りますが、先のMOVIE大戦でも、平成ジェネレーションズでも見たことないような、色んな意味でゼロワンとジオウがそれぞれの持ち味で殴り合うような映画だったと思います。こっからガンガンネタバレもしていくので未見の方はご注意を。

それと、レイトショーで睡魔と闘いながら見たので一部記憶がおぼろげだったり台詞や描写の説明が間違ってるかもしれないので、その時はごめんなさい。

 

仮面ライダー 令和ザ・ファーストジェネレーション 宣伝ポスター B2サイズ

杉下右京さんが横にいたら面白くなりそうなキービジュアル

 

 

 『ジオウ』から『ゼロワン』へ繋ぐ物語

ジョジョ6部エンド」などと揶揄されながら幕を下ろした『ジオウ』の物語。オーマジオウの力によって歴史が書き換えられ、現代人の同級生となったゲイツツクヨミと共に再び学園生活を送ることとなったソウゴ。しかし正直自分はこの結末に納得がいってなかった。別に「これまでの戦いが無かったことに」みたいな締め方が嫌じゃなくて(『龍騎』もそうだったけど、最後にそうなったのは真司やソウゴのあの戦いがあったからこそで)、20作という長い歴史を積み上げた「平成ライダー」の終局にその終わり方はどうなんだと思った。これに関しては映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』でも味わった、『ジオウ(踊る)』らしい終わり方だけど、シリーズ全体としてその終わり方はちょっとスケールが小さすぎないか?もっと華々しく終われよ、という印象。

 

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

  • 発売日: 2014/06/18
  • メディア: Prime Video
 

 

ただ、冒頭での3人の登校風景でその不満は帳消しとなった。ソウゴは相変わらず王様を目指し、それを聞いたゲイツは呆れる。そして知らないところでウォズが3人を見守る。いつもの『ジオウ』だ。歴史や舞台は変われどその会話劇は何度も見たあのやりとりそのまんまだった。それだけで安心感を覚える。

そしてウォズとの邂逅によって紆余曲折あり改変前の記憶を取り戻したソウゴ達3人。やっぱりウォズって便利。

それと今回のソウゴは本編よりも魔王らしさが溢れてたというか。ジオウⅡへ変身する時の「俺は魔王だから」みたいな台詞やラストのゼロワンの記憶を消そうとするのにはぞくっとさせられた。やはりTVシリーズや最終回の戦いや経験があったからこその威厳ある描写なのかな。

 

所変わってゼロワン側。アナザーゼロワンの出現によってヒューマギアが世界を支配する歴史へと変えられ、或人がテロリストとして指名手配された上、アナザーゼロワンに変身するウィズに会社を乗っ取られ、ゼロワンドライバーまで奪われてしまう。ヒューマギアから逃げる或人、ここでヒューマギアに対抗するレジスタンスとなったA.I.M.Sの2人に助けられ逃亡するのだが、ここでのカーアクションが痺れた。後のレジスタンスとヒューマギアの銃撃戦もそうだったけど、ライダー映画とは思えない、泥臭いアクションだった。刃さんの運転テクもかっこよかったし、あと脚発した弾丸を追っていくような迫力あるアングル。『ジュウオウジャー』の頃から杉原監督の独自のアングルは好きだったけど、今回も『ルパパト』劇場版のような映画ならではの斬新でテレビよりも迫力満点の演出が見れて満足。

 

 

避難所での戦闘シーン、追い詰められた或人とイズを救ったのはタイムマジーンに乗って現れたジオウ。ここはまさに現行主人公のピンチに颯爽と駆けつける前作主人公と、王道の展開で胸が熱くなった。ここでジオウ組とゼロワン組が合流し、或人はソウゴ達と共に"始まりのライダー"を探すため2007年へ。そこで仮面ライダー1型に変身する或人の父やデイブレイクの真相、そしてタイムジャッカーのウィルの出現と目まぐるしく物語が展開していく。ここら辺正直ドラマがグダグダだったから本当にややこしい。

或人は父を変えさせてしまった過去の自分に後悔するが、ここでソウゴが「過去は変えられなくても未来は変えられる」と助言する。これは『ジオウ』本編でも何度か触れられた定義だけど、それをソウゴから或人に投げたのは1年間の積み重ねなども相まって感慨深くなった。

前年の『平成ジェネレーションズFOREVER』にてソウゴが自分たちは虚構の存在なのかと迷いを見せた時、存在そのものが作りものである戦兎が彼を導いたように、今回はソウゴが或人を導く。こういう流れ、大好物です。

それと2人が話してた水辺の広場って、『FOREVER』の最後でソウゴと戦兎が分かれたのと同じ場所じゃないのかな?また見返して検証せねば…。

 

 

或人は終盤でゼロワンドライバーが戻ってくるまでずっと滅亡迅雷フォースライザーで変身する001で戦ってたけど、これは本編でも語られた「本当のゼロワンになる」とかけてたのかなと思う。己の過去の過ちを受け入れ、そして父を超え、父を笑わせるという夢を叶えたからこそ引っ張ってきて、アナザー1号との最終決戦で遂にゼロワン復活。ここの流れが美しかった。

 

 そしてアナザー1号との最終決戦、ジオウはグランドジオウの力でライダーを大量展開、ゼロワンはフォームチェンジを駆使しアナザー1号に抵抗していく。今作はゼロワンとジオウの共演作と言うよりはゼロワンの物語にジオウがゲスト出演しているような作風なのでやっとこさ見たいものが見れた。同時変身も、バイクでの併走シーンも無かったけど、ラストのダブルライダーキックとライジングタイムブレークの文字演出で全部許せてしまう。あぁ、平成ライダーってズルい(令和…)。

 

 

 

頂点は無いけど原点はあるよ

「ライダーに原点も頂点もない」ファンの間に衝撃を与えたソウゴの発言。いや、ホントに、自分自身の力でジオウの物語と平成ライダーに終止符を打ったソウゴだからこそ言える、響く台詞だよな…と。頂点云々はともかく、原点に関しては1号が~、クウガが~、とか突っ込まれてそうだけど、今作の原点はゼロワンの事を指してたのかなと思う。というか、ゼロワンが原点になるための物語が今作の存在そのものだった。「令和1号」や「新時代の最初のライダー」と(視聴者側から)称されるゼロワンがまさにそれになる、メタ要素の多いジオウと絡んだからこそそのコンセプトで通せたのだと思う。

 

 最後のゼロワンとジオウが拳を交える展開も、平成ライダーと令和ライダーは別々の存在、決して交わってはいけないからこそああなったので、あの展開こそが今作の物語に収拾を付ける為のベストな展開だったと思う。

 

今作はゼロワン側の父子のストーリーやヒューマギアの労働報酬に関する問題提議(ここじいちゃんは上手く誤魔化してたけど、いつか本編で或人に答えを出してほしい)と、ジオウ特有の瞬間瞬間を必死に生きた凸凹がちょっと噛み合ってなかった印象があったけど、だからこそ、お互いに猛スピードでぶつかった結果事故を起こしつつも何とか一つのものを完成させた、もう二度と交わることのない平成ライダーと令和ライダーの共演作、そして、平成ライダーから令和ライダーへのバトンタッチに相応しい出来だった。