※本文途中で、映画本編の内容にちょっち触れているためネタバレになるかもしれません。ご注意下さい。
自分のエヴァンゲリオンという作品へのなれそめは、二説ある。
一つ目は、10年ほど前にテレ朝で放送されていた『大胆MAP』の「人気アニメの声優の顔出し出演を交渉する」という企画で三石琴乃さんと緒方恵美さんが出てたやつから。
二つ目は、アニメ好きの従兄から。確かその時は、TV版第弐拾三話「涙」にてリツコが綾波を破壊するシーンを従兄の横で観てた筈、これが記憶が正しければ初めて『エヴァンゲリオン』の映像を見た部分だったので、今思うとすげぇところから覚えたなオイ…。
少なくとも、自分が子供の頃はTV版や旧劇は完全に過去の作品状態で、新劇も『破』が劇場公開された頃に金曜ロードショーでやってたのがきっかけで知ったと記憶している。この時は完全に「昔人気だったアニメ」という認識だった。こういう言い方、何人か敵に回しそうだよなぁ…。今も人気やろがい、みたいな。
『Q』が公開された辺りには、既にオタクになっていたのと、一応金ローで『序』『破』を流し見程度に観たので大体の話やキャラクターの名前は知っている状態までには成長した、と言っても当時は別にそんなに興味なかったのと、来年金ローでやってくれるでしょという考えから『Q』は観に行かなかったけど。でも「なにがQだよ!!」のSSはスレタイ読んで爆笑した。
そして時は経て2021年冬。緊急事態宣言発令のあおりを受けて公開再延期となっていた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が迫る中、直近の金ローで新劇3作を見返して、「あれ?もしかしてエヴァって結構面白い?」と今更感じ、それなりにエヴァ熱が高まっていた頃に、エヴァ好きの友人から布教を受けTV版のフィルムブック全9巻を借りることになり、読み進めている最中、折角またとない機会なんだし、こりゃ映画も行くしかねーなと決意した。
かくして、最初で恐らく最後のエヴァを劇場で鑑賞する体験。しかもそれがよりによって最終作という。尤も、同じような体験をしている人もたぶん日本に30人はいると思うのでそんなに特別感は無いが。でも、日に日に高揚感は増していた。これを埋めるためにフィルムブックはもちろん、ニコニコに上がってたシンジ吹き替えMADや旧劇公開当時のワイドショーの切り抜きなんかを見たりしていた。あと『邦キチ』の旧劇回も読んだ。自覚はあまりないが、この時すでにエヴァにハマっていたんだと思う、たぶん。Twitterにてネタバレになりそうなワードを神経質なくらいミュートにしたりもした。
来週エヴァ観る予定なのでネタバレになりそうなワードは一応片っ端からミュートにした。これだけやればネタバレ踏まない…ハズ。(伏せてある箇所は関係ないワード) pic.twitter.com/U6EeX74vBC
— ロゼロ (@RoRoRomaturity) 2021年3月7日
当日も劇場へ向かう最中、一緒に観に行くことになった、フィルムブックを貸してくれた友人とエヴァトークで盛り上がった。幸い2人共ネタバレは踏まなかったのでTL作りの成果を共有したり、加持さんは生きてるのか否かなどを予想し合った。
その際に、友人からは映画終わったら旧劇のDVD貸すよと言われて正直肝が冷えたりもした。まだ観てないけどかなりのトラウマモノ、地上波でそのまま放送するのは絶対無理、今ならR-15は確実にかかると言われ、絶望先生にて親と一緒に観て気まずくなった映画と紹介されたあの旧劇を…!?(最後関係ある?) まぁ、ここまでエヴァに触れたからには避けては通れないからな…、シンエヴァ鑑賞約1時間50分前、別の決意を固めた瞬間だった。
劇場のあるショッピングモールへは早く着いたのでマックを食べたりライダーの玩具をチェックして暇を潰し、いよいよ時間が来た。少し緊張しながら劇場へ向かい、チケットをスタッフに提示、入場者特典を受け取りいざスクリーンへ。まさか本当にここまで来ることになるとは。次出るときは、エヴァの最期を目に焼き付けた時になる。 いざ、決戦へ。
(ここから少し本編の内容に触れます)
スタッフロールが流れ終わり、「終劇」と「©︎カラー」のテロップが出て劇場に明かりが灯される。そこには、席を後にしながら、良いものが観れたと余韻に浸る自分が居た。
何といってもやはり、とにかく綺麗に仕上げたなに尽きる。心を病んだシンジ君が立ち直るまでの過程やミサトさんとの最後の会話、ゲンドウとの対峙を経て現実への帰還。3時間近い尺を持て余すことなく"やらねばいけないこと"、"やりたいこと"を描いていくのが少ししんどかったが(尿意や集中力的な意味で)、気持ち良かった。
何だかんだ語る上で避けては通れないのは初号機に乗る直前のミサトさんとの会話、長年ネチネチ言われ続けていた『Q』での理不尽な仕打ちを清算させたのは良かった…というか有り難かった。別にあれ以外にも理由はあるんだけど、個人的にも『Q』はモヤりポイントが多かったので、今回のあれで『Q』も受け入れられることが出来るようになった。
ゲンドウの心の弱さが表れた描写も、フィルムブックを読んでる時や新劇観ている時には「嫌な親父だなー」と感じていたけれど、何だかんだシンジ君とは似た者同士であり、ユイにもう一度会うために世界を消そうとする割に合わなそうな壮大な計画を企てるのにも説得力は感じたし、その救済を含めても『エヴァ』の完結に相応しいものだったかなと思う。
細かい「ここすき」シーンとしては、日向さんと青葉さんが決戦前に拳を合わせるシーンは感情にこみ上がるものがあった。メタ的にも劇中の経過時間的にも、長年一緒に戦ってきた戦友が決戦を前に静かに何かを誓い合うかの様な、こういう男の友情の描写はかなり好き。正直こういうの憧れてるから一度やってみたい。
もう一つ、超個人的なアレを語ると、『Q』の時のマヤさんは性格がキツくなってて少し幻滅したのだけれど、今回も口の悪い部分は覗かせれど頼れる姉御感が強く出ていてその部分はかなり満足だった。
上映後、これから観る人に配慮しながら無言で劇場を後にし、車に戻りそのまま友人と感想を語り合った。あそこが良かった、ああくるとは思わなかった、あの展開はどういう意図があるのだろう、あのキャラは結局何者だったのか。 考察を交えつつ、怒涛の2時間35分を余すところなく振り返った。自分の主観だと、これまで友人とは何本かの映画を一緒に観に行ったけど(9割はニチアサ関連作品だがな!)、たぶん上映後にあそこまで熱く感想を語り合ったのはエヴァが初めてかもしれない。それはエヴァにわかの自分もそうならざるを得なかった、それくらいの映画だった。
余談だけど、やはり2時間半もあれば上映中にちょこちょことトイレに行ったのか席を立つ人が割と多く、上映後にはトイレに列が出来ており、恐らく観客の7割はシアターからトイレに直行して行ったんだと思う。かく言う自分もその内の一人。
いやほんと、完全に完結ムーヴメントに便乗しただけなんすけど、それでも、日本アニメの歴史を大きく変えた大作の完結を劇場で見届けたのは人生の財産にしたい。以前にも、『平成ジェネレーションズFOREVER』 『Over Quartzer』でもシリーズの築き上げたものの大きさ、リアルタイムでずっと追ってきた人程響く映画を観たけど、間違いなくこの『シン・エヴァンゲリオン』もそのカテゴリーに入る映画。まともにエヴァに触れたのが約2ヶ月半程度の自分でもこんなにも感情が込み上がるのだがら、TV版からずっと追ってきた人なんてもう感動とかそういうのを超えてるんだろうなぁ。
シンエヴァ観てきた。ネタバレはしたくないので一言で済ませると、エヴァの終劇を劇場で見届けたのは一生の財産にしたい、それだけ。
— ロゼロ (@RoRoRomaturity) 2021年3月14日
あと終わってすぐに観客の7割以上がトイレに入って行ったのはたぶん二度と経験しない事だと思う(おれも入った)。 pic.twitter.com/PatWB9bVYq
とりあえず、思う存分楽しませていただきました。ありがとう、エヴァンゲリオン。また何処かで。
終劇
【蛇足】ラストシーンにおける自分なりの解釈・考察
ラストの大人になったシンジ君の声が神木くんに変わっていた演出は、シンジ君が少年から青年へと成長したことを分かりやすく示しているだけだと思うので、決して緒方さんを蔑ろにしている訳では無い気がする。
あと、あの結末からマリエンドと受け取れなくはないけど、別にシンジ君とマリがくっついたと言うよりかは、単にエヴァの物語の幕引きをマリが担当しただけじゃないかと思ってる。今回の話の流れからしてそれを任せられたのはシンジ君の他にマリ以外いなかった訳だし。「シンジとマリの絡みが少ないのにああなったのは納得できない」って言ってた人もいたけど、逆にあの結末に至るには今回のだけでも十分足りてたと思う、自分は納得してる。
友人と話した中だと、新劇はTV版~旧劇からのループしているのもあり得るとの説が飛び出し、そこから発展させて、マリはそのループから脱するための役割を持っているなんてことも考えた。たぶん外れてると思うニャ。でも自分の中ではマリは完全にそういう要因だと解釈してるなぁ。もし今後見返すとしたらまた考えが変わりそうだけど。
今度こそ
終劇